下痢、便秘
- 2022.06.19
おはようございます。かめい内科消化器クリニックの亀井宏治です。前回から少し日にちが空きました。今日は、下痢、便秘といった消化器症状の話です。ウイルスや細菌に感染しているわけではないに下痢を繰り返す、または、お腹が痛いといった症状で、来院される方が増えています。そのような方は、過敏性腸炎という病気かもしれません。
『過敏性腸症候群』
お腹の痛みや調子が悪く、それと関連して下痢や便秘などの消化器症状(排便回数や便の形の異常)が数ヵ月続く時に、最も疑われる病気とされています。発症頻度は10%程度とされています。原因は、はっきりしていませんが、ストレスが原因のこともあります。ストレスによって不安状態になると、腸の収縮運動が激しくなり、また、痛みを感じやすい知覚過敏状態になります。この状態が強いことが過敏性腸炎の特徴です。男性よりも女性に多く年齢とともに徐々に減っていくと言われています。感染性腸炎の後に発症する頻度が増えると言われています。これは腸内細菌の乱れ、炎症が複合的に混ざり合って起こると考えられています。過敏性腸症候群の発症に脳内物質のセロトニンが関与していると言われています。セロトニンは不安や鬱とも関係性の強いホルモンであると言われています。
診断:
診断には国際的に用いられているローマ基準を用います。問診、血液検査、便培養検査、腹部CT、腹部エコー、大腸カメラ等で、器質的な疾患(感染性腸炎、大腸癌、炎症性腸疾患)を否定し、器質的な疾患がないにも関わらず、症状が続く場合、過敏性腸症候群を疑います。
診断基準(ローマ基準):
最近3か月間に月3日以上お腹の痛みや不快感が繰り返し起こっている。排便によって症状がやわらぐ。症状とともに排便回数や便の形状が変わる。
治療:
①食生活の改善
脂質、アルコール、コーヒー、香辛料等により、症状が悪化する可能性があり、摂取を控える。
また、消化されにくい糖類が大腸内で発酵してガスを産生し、腸管運動に異常をきたすと言われています。
②治療薬
過敏性腸症候群には下痢型と便秘型に分けられます。
下痢型には日本で認可されている内服薬はイリボーのみです。便秘型にはコロネル、ポリフィル、トランコロン、リンゼス、その他アミティーザ等の下剤と整腸剤を併用いたします。
その他、SSRI等の精神的なストレスをとる治療薬が効く場合もあります。
*下痢・便秘の症状が数か月続く場合は、一度ご相談ください。